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インタビュー結果

イギリスの大手スーパーマーケット「テスコ」にて正式にスタートした切花の日持ち保証販売。この販売方法がスタートしたきっかけと、どのようにこの販売方法が確立したのか、そのプロセスを理解するため、今回、そのプロジェクトに参加していたニック・マクドナルド氏に会い、インタビューを行った。

 

日時:2013年9月8日~12日

場所:オランダ

インタビュアー:米田(JELFA常務理事)、青山兼人(JELFA事務局長)

 

ニック・マクドナルド氏 プロフィール

イギリス出身。イングランドの大学にてマーケティングビジネスを学ぶ。その後、切り花ブーケメーカー「セイフウェイ」に勤める。1995年に「ギースト」に勤め、資材と切花の販売を勢力的に行うようになった。 
海外からの切り花の仕入れなどの仕事が増え、ケニアやエクアドルなどへのビジネス出張も増え、TESCOなどのスーパーマーケットへの販売が増えてきた頃である。1996年に「スペリア」のちの「センズベリー」に勤め、そのころから日持保証のコンセプト販売を勢力的に広げるようになった。1995年から1996年にかけてTESCOが日持保証販売を展開した仕掛け人の一員である。
1999年からオランダ「クリザール」社に10年間の勤務。そこでは、今までの仕事の幅を広げ、イギリスの営業担当となり、アフリカのジンバブエ、ケニア、南アフリカなどの市場を広げ、アジアでは、日本、韓国、オーストラリア、中東、インドへと幅広く、商品展開を手がける活動に従事。
現在は、「ベイスライフ」という会社を立ち上げ、生産用、流通用、加工用、花小売業、消費者に向けての切り花鮮度保持をする商材ブランドを展開し、ケニアやポーランドの生産国への展開と消費国ヨーロッパへの販売展開を広げている。約3年でビジネスも軌道に乗ってきている。

 

 

Question1 いつから日持ち保証販売が正式にスタートしたのか?

Answer
1995年春、イギリスの「テスコ(Tesco)」にてスタート。

Question2 現在、スーパーマーケットによる切り花販売が有意に展開されているが、それ以前、生花店全体のシェア率はどのようであったか?

Answer
日持ち保証前     生花店  70%  スーパーマーケット 30%
日持ち保証販売後  生花店  20%  スーパーマーケット 80%

Question3 この日持ち保証販売プロジェクトをはじめる「きっかけ」は何ですか?

Answer
1980年代に、イギリスのスーパーマーケットは切花販売をはじめました。しかしながら、当時 消費者はスーパーマーケットが販売する切り花は、フローリスト花屋が販売する切り花と比べて、品質的にも鮮度的にも劣っているのではないか、という悪い印象を持っていたようです。そのため、切り花の日持ち保証販売のコンセプトを打ち出すことにより、その悪い印象を払拭し、消費者が日持保証販売のコンセプトを知ることにより、切り花を買ってみようというきっかけを与えたかったのです。
当時、花の販売はスーパーマーケットにとって、ポテトやバナナなどの品目に比べて利益性の高い商品でした。しかしながら、消費者の懐疑的な印象から、販売に繋がらず、多くの無駄が生じ、利益性の高い商品の可能性が発揮されていなかったのです。日持ち保証販売のコンセプトを打ち出すことにより、販売が伸び、利益も増加し、お店にとって良い結果をもたらしました。イギリスの小売業はとても競争が激しく、競争に勝つための優位な状況を模索しています。テスコ(Tesco)は切り花の日持ち保証販売を最初に手がけることで、他の小売業者に比べて優位な販売を得ることが出来たのです。

Question4 日持ち保証販売を始めるに当たり、スーパーマーケットはどのようなルールを提示したのでしょうか?

Answer
●生産者に対して
花卉品目の選択を行いました。日持ち保証販売をする上で非常に大事なことです。切り花収穫後、適性な後処理剤を使用すること。コールドチェーンを行うこと。最低限の温度を設定を行いました。この温度設定は、生産現場での採花から、イギリスのテスコ(Tesco) 店舗に切り花製品が到着するまでの流通段階全てです。
時間の管理。生産場所から切り花の採花、選別加工、イギリスまで到着する時間軸の管理。明確な仕様を提出する。生産現場、切花の取り扱い方法(パッキングを含む)、選別の仕方、品質管理、病気などの管理、流通、販売に至るまで。販売にふさわしいパッケージング(スリーブ、ボックス、ラッピングの仕方など)。

●市場に対して
品目の選定
生産国の選定、生産品目の栽培の為に良い気候条件が整っていること。生産国の選定、物流のインフラ整備が整っていること。例えば、道路整備や空港など。これはコールドチェーンの流通をするために重要な要素です。生産者の選択。生産規模が大きく、なおかつ、安定した品質商品を提供できる生産者を選定することも役割の一つです。

●ブーケメーカーに対して
明細事項を提示できること。品質管理を取り入れること。花の管理を正しく行うこと。切花の日持ち検査が出来ること。切花の商品管理および在庫管理を行い、回転効率の良い販売ができること。流通加工用の切花処理剤を使用すること。コールドチェーンの管理。切り花の扱い時の温度管理を行うこと。

●販売に対して
切り花・鉢花 の販売が伸びるように努める。鉢物の売場を縮小し、切り花の売場を拡大させる。切り花の販売する場所を変更する。店舗の出口などの販売位置から、店舗の入り口や、中央に切り花の売場を変更し、生鮮品と同等に扱う。デザインの良い花売場への変更。物日とそうでない日によって、花売場の大きさを変更するよう管理。高価な切り花は、週末に合わせて販売をするように管理。

●消費者に対して
日持ち保証販売のコンセプトを知ってもらうよう広げる活動。ブーケにシールなど張ってコンセプトを伝える。商品価格ラベルにも情報をつける。ポスターやポップ広告をつける。家庭用の雑誌などにも広告を掲載する。

Question5 生産者・市場・ブーケメーカー・スーパーマーケット、それぞれのセクションに日持ち保証販売ブロジェクトを遂行するためのマニュアルはありますか?

Answer
あります。別途市場あり。

Question6 どのようにしてコールドチェーンの温度は決定されたのか?

Answer
コールドチェーンの温度は、科学的指標とテスト結果がベースとなっています。しかしながら、実用的で実利的な管理でなければなりません。0度に近いほど、良い結果をもたらします。今日では、オランダの会社「Flowerwatch」 がコールドチェーンの分野で特化した事業を手がけ、非常に影響力があります。

Question7 どのようにして、ブーケメーカーは前処理とバクテリアのチャックを行うのでしょうか?

Answer
前処理をしたかどうか判断できるトレーサーを使用します。染料の入った薬品を使って開花状況を検査します。pH値のチェック。前処理を行うと、pH値は3.5~5.5の間になります。化学検査 STSなどの使用有無の検査を行います。茎に存在するバクテリアの数を測るなど、ペトリフィルムを使って水の中に存在するバクテリアを調べます。

Question8 どのようにして、ブーケメーカーは流通を通じて切り花の鮮度を管理するのでしょうか?

Answer
データロガーを使って温度記録をとってチェックします。入荷されたときに切り花のチェックを行います。水温をチェックします。トラックの温度チェックを行います。今日では、WATCH IT ラベルを付けて管理することが進められています。

Question9 もし流通の中でコールドチェーンの管理ができていないような箇所が見つかった場合、どのような対応を行いますか?何か他に対処する方法はあるのですか?

Answer
止めます。コールドチェーンの仕様に反する場合、入荷を受け付けません。

Question10 スーパーマーケットやブーケメーカーから要望などはありますか?

Answer
●生産者に対して
品質管理、商品の取り扱い、コールドチェーン管理の徹底。
●市場に対して
品質管理、商品の取り扱い、コールドチェーン管理の徹底。供給元の情報把握。
●輸送会社に対して
温度管理、時間管理、エチレンガスなど悪影響を及ぼす事項に対する管理。

Question11 日持ち保証販売プロジェクトに対して、なぜ、スーパーマーケットは続けることが出来たのか、一方なぜ生花店はしないのか?

Answer
まず、規模と販売力が違います。そのため、規模が大きく・販売力もあるため、生産から消費者までの切り花の流通をコントロールすることがスーパーマーケットは出来ます。規模の大きい事業を展開する上で、有能なパートナーを選択します。スタッフのトレーニングを行います。コールドチェーン管理を行います。

Question12 どのように消費者に対して切り花栄養剤の利用をそく促したのですか?

Answer
販売店は、無料で切り花栄養剤を消費者に配布しました。科学的根拠を明示しました。

Question13 日持ち保証販売を導入するに当たっての問題点は何ですか?

Answer
●スーパーマーケット
問題点:スタッフの教育が行き届いていない場合。コールドチェーン管理が、店舗の中で徹底できていない場合。エチレンガスによる影響がある場合。
●ブーケメーカー
問題点:ほとんど問題はない。取り扱いによる品質管理に問題がある場合。切り花商品の在庫管理と廃棄品の管理に問題がある場合。

Question14 日持ち保証販売の現在の問題と、将来起こりうる問題とは何ですか?

Answer
競争会社との競争の激化。あらゆるスーパーマーケット、量販店が行っている。

Question15 現在の切り花市場のマーケットシェアの割合は、スーパーマーケットと生花店比べてどうか?

Answer
イギリスの場合:スーパーマーケット 70%、生花店 30%

Question16 近い将来、生花店はどんな形で発展していくのか?

Answer
専門化。日持ち保証販売に近い仕組みの導入。家庭やオフィスへの花のデリバリー。インターフローラのようなフローリストのチェーン化を発展。

Question17 日持ち保証販売について、イギリス以外の国ではどのような状況でしょうか?

Answer
様々なスーパーマーケットが導入している。フランス、ドイツ、オランダなど。テスコ(TESCO)が行った日持ち保証販売の情報は流通し、大手スーパーは類似の形態で導入をすすめている。オランダのアルバートハインでも、日持ち保証販売は導入されています。