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国内外調査

南米花き産業調査 2007.06.20〜06.29

(1)日本への輸出が急増している南米
(コロンビア・エクアドル)の産地を訪問し、高品質な商品の生産状況や出荷処理技術を確認する。また、同時に最近テスト的に始められている切花の長距離船輸送などの物流状況についても調査する。

(2)アメリカで初めて日持ち保証販売を
始めたテキサス州のH.E.B.や、その他のスーパーマーケットを訪問し、販売状況を視察する。

 

<調査メンバー>
柏村副会長、青山理事、米田理事、佐無田事務局長(4名)

通訳;田中宏明氏・ 青山一太 氏・森山貴子氏(JELFA会員)

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<行程・視察地>

6/20 日本→コロンビア 移動
6/21-23

コロンビア産地視察

①Colibri Flowers ②Sb Tale ③Translago  ④Inversiones Morcote
⑤Benchmark Growers  ⑥Multiflora  ⑦Asocolflores-Ceniflores
⑧Inversiones Ceron Castilla  ⑨BioFlora

6/24-25 エクアドル視察
①Agricola San Fulgencio Agriful  ②Jardines Piaveri
③Agrocoex
6/26-27 アメリカ(ヒューストン)
HEBなど、スーパーマーケット視察
6/28-29 アメリカ→日本 移動

 

 

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○概要


コロンビアとエクアドルは、ともに赤道直下近くに位置しているが、国土の多くが高地にあるそのため、年間を通じてほぼ同じ日照時間を得られることや、高地にあって(2500~3000m)昼中と夜温の寒暖差が大きいことなどでバラなど切花生産の条件が非常によい。

世界的に見ても、アフリカ東部のケニアやアジアのマレーシアなどの高地は同じ条件を持ち、同様に切花生産が盛んであり、こうした地域は労働者の人件費コストが安いこともあって、品質のみならず価格的競争力がある世界の切花生産の中心になってきている。

これまではコロンビア、エクアドルがアメリカ・カナダの北米、ケニア・エチオピアなどがオランダを中心としたヨーロッパへ輸出されていたが、最近は物流技術の進歩と共に南米からヨーロッパへ、アフリカから北米へ、などそれぞれの産地から長距離にある国や地域へ輸出されるようになってきている。

コロンビア、エクアドル共に切花は重要な農産物であり、産業としても外貨獲得に大きく貢献している。

今回はフェアトレードの認証を取得している生産者を中心に訪問したため、いずれも高品質な花を生産し、品質維持のために行う出荷処理が徹底していたことはもちろん、作業場の環境や、作業者の労務管理も十分に高いレベルにあった。

北米とヨーロッパを比較するとヨーロッパの方が高品質な切花を要求される。特にフェアトレードについての認識が普及しているスイスなどは、価格よりも品質が優先されており、高品質なバラを生産している生産者はほとんどがスイスへ輸出していた。

今回、高品質な切花を輸出している生産企業を回り、採花後の出荷前処理(ポストハーベスト)について必ず確認したが、多くの生産者がコールドチェーンはもちろん、徹底した品質管理を行っているのと同時に、生産現場においても何十ヘクタールもあるハウスの中が、輸出のために害虫の発生を防ぐこともあって雑草すら見当たらないほど清潔に管理されていた。

コロンビア、エクアドル共に最適な条件下で育成された花は、その気候条件から同じ品種でも日本に比べ て花弁が大きく育ち大輪化することが特徴で、採花後、適切な前処理とともに加工時以外は常に切り口が水から離されない配慮と、農場から出荷されるまでは常にコールドチェーン下にある徹底的な管理がなされている。

生産品目は、気候条件からカーネーションとバラの生産が圧倒的に多く、その品質の高さから訪問した生産者では、日本の輸入業者と取引しているところも多かった。

 

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○コロンビアの生産

 

物流会社1社を含め8ヶ所を訪問・視察した。
バラとカーネーションの生産が主体で、生産者の80%が首都ボゴタの周辺に集まっている。
コロンビア全体では7200haの生産施設があり、そのうち80%がボゴタ周辺にある。輸出先としては、85%がアメリカ・カナダの北米、以下ロシア、イギリス、日本と続く。
全体の切花の30%がバラ、14%がカーネーションで、そのほかにブーケとして分類されているバラ・カーネの生産がある。
今回のコロンビアでの視察先は、すでに取引のあるColibri Flower、育種と生産を手掛けるSb Talee、物流会社であり日本向けの乙仲業者のTranslago、完璧な生産システムを持つInversiones MorcoteとInversiones Ceron Castilla、コロンビア最大の生産グループであるBenchmark Growers、コロンビアの生産花き協会であるAscolflores-Ceniflores、微生物の有機農法に取り組むBioFloraで、いずれも特徴ある生産企業で、高品質なバラやカーネーションを生産していた。
フェアートレードのの認証を受けている産地は、ColibriとMorcoteだけだが、どの生産者もFloverde(コロンビア輸出協会が認定, 昨年Euro Gapの基準をクリアーした内容に改訂)の認証を受けていた。

 

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連綿と続く簡易なビニールハウス(コリブリ) よく手入れが行き届いた圃場
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効率が高い結束作業現場

冷蔵庫内での梱包作業

 

 

○エクアドルの生産

 

首都のキトの北部2ヶ所、南部3ヶ所の合計5ヶ所の農場を視察した。
Export Florist(輸出協会)に350名の生産者が登録。切花生産面積全体の70%がバラの生産を行っている。

基本的にはコロンビアと同じ生産体系であり生産品目もよく似ていたが、視察した2件の生産者が、出荷前に花全体・茎と葉の部分、切り口、と三段階の消毒を、消毒液の中に花を直接漬けるという大胆な方法で行っていた。消毒液とはいえ花弁に直接漬けることでその後のボト病やシミ発生が無いのか心配なところだが、 問題は無いとのことでサンプルを6束提供してくれた。

コロンビアとエクアドルでいくつも視察したなかで、最もレベルの高い生産と収穫後の後処理、出荷梱包をしていた農場、 Rosas del Monte社について、ここだけはバラの葉にリーフシャインを降り掛け、葉の輝きまでにも配慮していた。 今のところ、日本への輸出はなく、今後検討したいとのことであった(9月から生産量がアップする)。

 

今回のエクアドルでは、とにかく徹底した管理・処理体制に感銘を受けたRosas del MonteとPontetresa、3000mを超える高地でバラを栽培するAgricola San Fulgencio Agriful、兄弟がそれぞれ別の農園を経営し、今回の視察先の名では唯一暖房設備を持っていたJardines PiaveriとAgrocoexであった。
この内、Agricola San Fulgencio Agriful とJardines Piaveriで、前述の花を消毒液にドブ浸けしていた。

 

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花も直接消毒液(原液)に漬ける最高レベルの収穫後処理
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○航空便と長距離船輸送


南米からアメリカ、ヨーロッパ、日本への輸送は航空便の利用が一般的で、それぞれ産地からコロンビアはボゴタ空港、エクアドルはキト空港までトラックで陸送(冷蔵車は全体の半分以下と思われる)し、その後アメリカのマイアミ、ヒューストン、ロスなどを経由してそれぞれの地域へ空輸される。

今回、幸運にもコロンビアのボゴタ空港でMartinair cargos系列のTampa cargo社の積み込み作業を視察できたが、施設への入場に視察者もパスポートの提示を求められ、厳重な管理の中で作業がされていた。これは麻薬の混入を避けるためだそうで、入荷から飛行機への積み込みまでの行程で138台ものビデオカメラ(しかも全方位移動可能)が隅々までを監視し、モニター室でチェックしている状況は異様であった。
航空便だと、たとえばエクアドルの生産者がヨーロッパへ送った場合、採花した日を1日目と数えると、前処理、梱包、予冷され、空港までの輸送が2日目、3日目に空輸され、4日目に先方の加工部門へ届く。その後、すぐに水揚げなどリパックされて、5日目、遅くとも6日目に店頭に並ぶ。
航空便の積み替え作業時の環境はわからないが、航空機内は冷房がされているそうなので、生産者側の適切な前処理、到着後のヨーロッパで適切な処理と管理のもとで販売される切花は、消費者を十分満足させるだけの品質を維持しているのだろう。

船輸送については、現状の南米での生産品目の中ではカーネーションとミニ・カーネーションがメインで、主要品目であるバラは今のところ航空便の利用が一般的。
その輸送ルートはいくつかあるが、コロンビアからの例のひとつが、ボゴタ空港からアメリカのマイアミまで航空便で運ばれ、そこからアメリカを縦断してロスまでトラック輸送され、ロスから船で東京まで運ばれる方法で、採花から東京への到着まで25日(その内船輸送期間は2週間)かかる。
また、コロンビアの港(現在4港が稼動)から直接日本へ船で運ばれる方法もあるが、それも東京や名古屋まで24日間かかるらしい。(SB-TaleeとColibriがフレッシュフラワー分を発送している)
日本まですべて飛行機を乗り継いでくると、36時間程度で届くそうで、その輸送費用は船を使った場合に比べて35%増とのことだが、実際はもっと差があると思われる。

いろいろなところで、この船輸送のことを聞いてみたところ、その相手の立場や認識によって賛否両論のようであったが、船輸送をするには海上コンテナを満載にする必要があり、現状ではそれだけの荷物が集約できないことが共通した問題になっている。

 

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  航空機への積み込み梱包
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○アメリカのスーパーマーケットにおける切花販売


今回、日本から南米への乗り継ぎがテキサス州ヒューストン空港であったため、このテキサス州を基盤とし、アメリカで初めて切花の日持ち保証販売を始めたスーパーマーケット「H.E.B.」を含め、いくつかこの地域のスーパーの花売り場を見て回った。
切花の日持ち保証販売は、イギリスのテスコなどが取り組んだことで飛躍的に切花の消費を増やしたことが知られ、日本でも花良品などが取り組んだ。

テキサス州も気温では日本と変わらず夏なら30℃を越える日が続くが、気温で日本と変わらないのになぜH.E.B.がアメリカで日持ち保証販売を続けられているのかというと、オーナ-自らが扇動役として熱心に取り組んでいることと、イギリスを見習って徹底した物流におけるコールドチェーン化を実現したこともあるようだが、花が飾られる消費の現場でエアコンによる冷房がどこも完備されていることもその要因ではないかと思う。



滞在していた2日間も、外気温は30℃を優に超えていたが、建物に入るとどの施設も寒いほどエアコンが効かされていた。このあたりも、切花のための日持ち保証販売が続けられている条件ではないかと思われた。


ただし、高品質とはいい難い(カーネは14日、バラは5日保証)イギリスでスーパーマーケットによる日持ち保証販売が始まって切花の消費が急増したが、その理由として前述の通り、一年を通じて冷涼な気候と、オランダから高品質な商品が豊富に届いたこと、日持ち保証しやすいスプレーマムなどが国民に好まれていたことなどがあげられる。それに対し、アメリカではH.E.B.による切花の日持ち保証販売が始まっても、これまで切花の販売をしてなかったスーパーマーケットが扱うようになった程度で、大きく消費を増やすまで には至ってないし、全米に数多くあるスーパーのなかで日持ち保証販売を続けているのは、H.E.B.だけとのこと。

 

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H.E.B.店内の花売り場 フラワーフードを付けた日持ち保証ブーケ
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HEBの資本配下にある高級路線スーパー、 セントラル・マーケットのエクアドルのバラ売場   

 

 

▲国内外調査INDEX